歯周病を進行させる原因
その1.「歯周病細菌」
一般的に言われているように、「毎食後に歯磨きを行わなかったり」「歯磨きをしても磨き残しがあったり」して不潔なお口の状態が続くと「歯周病細菌」が増殖して、歯ぐきの発赤・腫れ・痛み・出血・排膿歯槽骨の吸収(歯の周りの骨が溶けてなくなる)・歯の動揺等の症状が出ます。
お口の中が不潔な状態が続いたのが原因のため、お口の中を清潔にするといった比較的簡単な治療で治すことが可能です。しかし、なかなか進行が止まらない難治性の歯周病の場合は、原因が「歯周病細菌」単独ではなく、その2~その3の原因が関与していることが多く治療の難易度が上がります。
治療方法:①毎食後に歯磨きを行う習慣をつける
②お口に合った歯ブラシの選択を行う
③きれいに磨けるまでプロによる徹底した「質の高いブラッシング指導」を行う
④PMTC(プロである医療従事者によるバイオフィルムや歯石除去・歯面清掃)を行う
⑤必要に応じ「歯周外科手術」を行う
その2.「咬合性外傷」
例えば土の中に杭を打ち、毎日強い力で揺さぶると杭と土の間にすき間ができ、やがてぐらついて抜けてしまいます。これと同じように、頻繁に歯を揺さぶるような過大な力がかかると、負担により歯根周りの歯を支えている歯槽骨が溶けて無くなり、結果的に歯槽骨の中に埋まっている歯根部分が減ってしまいます。また、歯と歯槽骨の間にすき間ができ歯が脱臼し、歯が動揺するようになってしまいます。
「咬合性外傷」が原因で抜歯が必要となる「末期の状態」では、歯がぐらぐらになり歯ぐきも腫れて痛みがあり排膿もあるため、「歯周病細菌」が原因による末期の症状と似ているため、どちらが原因かたいへん判断が難しいのです。
従って、「咬合性外傷」も関与している場合は、いくらきれいに歯磨きをしてお口の中を清潔にしていても、歯槽骨は溶け続け歯ぐきが下がり、やがて歯がぐらぐらになり抜歯が必要となってしまいます。
「難治性の歯周病」の場合、高い確率で「咬合性外傷」が関与しているのが現状です。
咬合性外傷を起こす原因:
①硬嗜好(頻繁に硬いものを食る)②咬みしめ ③歯ぎしり ④不良姿勢
⑤咬み合わせが不良な被せ物 ⑥不良な歯並び ⑦その他多数
※詳細は、お口の資料を元にカウンセリング時にご説明いたします。
治療方法:①食生活の改善
②悪い生活習慣の改善
③就寝時のマウスピース(夜間スプリント)の使用
④咬み合わせの調整
⑤咬み合わせが不良な被せ物の調整またはやり直し
その3.「免疫力の低下」
人間の身体には免疫力があり、健康な人は歯磨きを2~3日さぼってしまっても、すぐに歯ぐきが腫れたり出血することはありません。何故なら、免疫力が働いて細菌の繁殖を抑えてくれるからです。
ところが、免疫力が下がると少しお口の中が不潔になっただけで、お口の中の善玉菌・悪玉菌のバランスが崩れて、歯周病細菌が増殖して歯ぐきの腫れや出血などのトラブルを引き起こします。
従って、「免疫力を上げる(回復する)」ことが必須となりますが、その原因の改善が長引くものは、同時に歯周病の改善にも時間がかかります。
免疫力の低下を起こす原因:
①免疫力が低下する全身性疾患(糖尿病・甲状腺機能障害・白血病・膠原病・悪性腫瘍・
腎臓病・肝臓病・その他)②過労 ③寝不足 ④不良な食生活 ⑤過大なストレス ⑥その他
※詳細は、お口の資料を元にカウンセリング時にご説明いたします。
治療方法:①医科にて全身疾患の治療とコントロール
②生活習慣の改善
③食生活の改善
④その他
※具体的な方法は、カウンセリング時にお知らせします。
その4.「血液循環障害」
歯の周りの組織の歯槽骨や歯肉には多くの細い血管があり血液から栄養を得て健康な状態が保たれています。しかし、何かの原因で血液の流れが悪くなりうっ血した状態になると歯ぐきが発赤し腫れてしまいます。この状態が長く続くと歯ぐきの抵抗力が弱くなり、後に「歯周病細菌」が感染しさらに歯ぐきの腫れが増大してしまいます。
この場合、歯ぐきの腫れの根本的な原因は「歯周病細菌」ではなく、歯の周りの組織の血管の血液循環障害のため、いくら歯磨きをしたり歯の周りのクリーニングを行っても血液循環障害が改善されない限り歯ぐきの腫れが完全に治ることはありません。
血液循環障害を起こす原因:内容が難しいことといくつもの原因があるため、詳細はお口の資料を元にカウンセリング時にご説明いたします。
治療方法:具体的な方法は、カウンセリング時にお知らせします。