7.当院でのインプラントの成功率
海外の開業医で行われたインプラントの予後をを調べた調査論文(後に貼付)によると、6年以上のインプラント生存率は96.11%とか97.38%と高い成功率であることが分かります。
定期検診受診率の低い日本では、もう少し成功率が低いのが、現状と思われます。
当院では開業時からインプラント治療を行っており過去25年間で、累計数百本のインプラント治療を行って来ましたが、99.6%以上の高い成功率を維持しております。
100%の成功率でない理由は、過去25年間に残念ながら2名の患者様のインプラントを撤去しております。
<2名の患者様の撤去に至った詳細>
1人目の患者様の詳細:
インプラント埋入手術も成功し手術3カ月後に順調に骨としっかり結合したため、翌月にアバットメント(2次パーツ)を繋ぐためにご予約を取って頂きました。
しかし、ぞの1ヶ月の間に急にインプラントの周りの骨が吸収を起こしインプラントが動揺を起こし余儀なく撤去致しました。
糖尿病やその他全身疾患も無く、手術も成功しており骨としっかり接合していたインプラントが1ヶ月という短期間に急に動揺を起こした理由が全く分からない状況でしたので、反対側もインプラント治療を行う予定でしたが取りやめ、金属床の入れ歯にて治療を終えました。
途中で定期検診に来られなくなり、数年後に口腔清掃をして欲しいとおみえになりました。
その際、定期検診におみえにならなかった理由をお聞きしたところ、「膠原病(免疫力が低下する病気)になり長期入院していた。」とのご返答を頂き、当時精密検査をしても何も問題がなかったが、膠原病の気があったため、インプラントの周りの骨が短期間で吸収した理由が分かりました。
あの時、反対側もインプラントを行っていたら同じことが起こったと思われます。
このように免疫力が急速に低下する病気の場合は、ご自分の歯が駄目になるのと同様にインプラントも駄目になる可能性があるため、十分な注意を要します。
二人目の患者様の詳細:
全ての治療が終了し、2年ぐらいは定期検診におみえになりましたが、その後来られなくなりました。
約5年後に、「口の中が全体的に腫れているので診て欲しい。」と来院されました。
来院時のお口の状態は、口腔内の清掃が不十分でかなりの歯石が沈着しており歯周病が再発し、何本かの自分の歯の周りと、インプラントの周りの骨が無くなっており、数本の歯牙の抜歯とインプラントの撤去を行いました。
定期検診に来られなくなった理由をお聞きしたところ、「癌が発覚し手術を受けられ、退院後も長期間にわたり抗癌剤(免疫力を下げる作用)の服用をしていた」とのことでした。
この患者様も、免疫力の低下と口腔内の不潔が原因と考えられます。
もし、日頃の口腔内の清掃が十分されており、きちんと定期検診におみえになっていたら、この様な結果にはならなかったと思われます。
インプラントの撤去に至った理由は、いずれの場合もインプラント埋入手術の失敗ではなく、病気と治療薬による患者様の自身の免疫力の低下と口腔内の清掃の悪さによるものでした。
インプラントは、万能ではありません。
インプラントは、全て金属でできているため口腔内が不潔な状態でも虫歯にはなりません。
しかし、歯磨きが不十分であればご自分の歯に歯石が沈着し歯周病になるように、インプラントの周りに歯石が沈着しご自分の歯と同様に歯周病になります。
従って、インプラントを長持ちさせるには、
十分な口腔清掃と定期検診が必要不可欠なのです。