3.歯周病の原因
口腔内には、400~700種類もの細菌が存在します。
歯周病の原因は、
それらの幾種類の空気(酸素)を嫌う、
グラム陰性(偏性)嫌気性菌による
細菌性複合感染と言われています。
左の写真のように、
幾種もの細菌が感染し群れをつくりながら、
歯周病を進行させて行きます。
歯周病(慢性歯周病)を引き起こす、代表的な細菌として、
1)Porphyromonas gingivalis(P.g菌)線毛(日本人の場合はⅡ型)を持ち歯肉組織に付着しようとする。 内毒素を持ち歯槽骨吸収を引き起こす。
2)Tannerella forsythensis(T.f菌)
らせん状の運動性細菌 菌の歯周組織への定着に重要な役割を果たす。 内毒素やCDTにより歯周組織を破壊する。
3)Treponema denticola(T.d菌)
壊死性潰瘍性慢性歯周炎(ANUG)に関与
1)~3)の菌は、
Dr.Socransky らにより、「red complex」と呼ばれ、
3大歯周病細菌として、重要視されています。
4)Campylobacter rectus(C.r菌)
5)Eikenella corrodens(E.c菌)
6)Fusobacterium nucleatum(F.n菌)
7)Aggregatibacter(旧Actinobacillus)
actinnomycetemcomitans(A.a菌)
線毛を持ち歯肉組織に付着しようとする。 歯周組織を破壊する侵襲性歯周炎に多く存在する球菌
8)Prevotella intermedia(P.i菌)/nigrescens(P.n菌)
壊死性潰瘍性慢性歯周炎(ANUG)に関与 思春期性歯肉炎、妊娠性歯肉炎に関与 太い直毛性線毛(typeC線毛)を持ち、強い上皮細胞への付着性と強い赤血球凝集性がある。
9)他多数
これら歯周病の原因菌は、
①歯・歯肉・舌などの歯周組織に定着(付着)し易い。
②他の菌と群れを作り、バイオフィルム(後述)を形成し感染に対する体の防御反応(免疫能力)に打ち勝つ力を持っている。
③毒素や酵素を出し、直接的もしくは、間接的に歯肉や歯槽骨などの歯周組織を破壊する。
①~③のような厄介な性質を持っており、
歯周病を発症(誘発)し悪化(進行)させて行くのです。