10.当院の歯周病治療の流れと治療法
1.患者様の歯周病に関する情報ならび資料の収集
■ 問診
初めに、当院独自の問診表のご質問にお答え頂きます。
その問診表に基づき、さらに詳しく問診を行わさせて頂きます。
<問診項目>
① 症状(自覚症状)の確認
② 症状の経緯(既往歴)
いつぐらいから、どのような症状が現れ、どのような経過をたどって、現在に至ったのか?等
③ 過去・現在における全身疾患の有無
特に、糖尿病・膠原病・白血病・癌・・・等の免疫力が低下するような全身疾患をお持ちの方は、細菌感染を起こし易く歯周病と大きく関りがあるため、詳細な問診が必要であると考えております。
④ 生活習慣
歯周病は生活習慣病と言われており、生活習慣と密接な関係があると同時に生活習慣が改善されない限り歯周病治療を行っても良い結果は望めません。
例えば、1日の歯磨きの回数と時期・睡眠時間・お仕事の内容・嗜好物ストレス度・生活環境の変化・・・等が大きく歯周病と関係があるとされています。
■ 歯周病基本検査(詳細は、前のページを参照して下さい)
①歯の周りの歯周ポケットの測定検査
②歯肉からの出血の有無の検査
③歯の動揺度の検査
④歯槽骨の吸収度合いを調べるレントゲン検査
⑤歯根膜腔の拡大度合いを調べるレントゲン検査
⑥その他
■ 口腔内写真撮影
初診時のお口の状態を写真にて記録し、ご説明(カウンセリング)や治療途中や治療後との変化を比較検討するのに必要と考えた場合に行います。
■ 口腔模型作製用の型取り
初診時のお口の状態を模型にて記録し、ご説明(カウンセリング)や治療途中や治療後との変化を比較検討するのに必要と考えた場合に行います。
しかし、腫れや痛みが強い等の場合は、急性症状が治まった後日に行います。
2.初診時の緊急処置
■ 切開排膿処置
歯茎に膿が溜まり腫れがひどいが、歯を抜かずに残せる可能性があると判断した場合に、歯茎を切開し膿を出すことにより減圧し一時的に腫れを抑えます。
(その後の経過が悪い場合は、抜歯を行います。)
■ 抜歯処置
重度(末期)の歯周病で保存不可能と判断し、緊急の抜歯が必要な場合のみ、行います。
■ 投薬処置
炎症や腫れや痛みを抑えるために、抗生物質(抗菌剤)や消炎剤や鎮痛剤等の内服剤や含嗽剤を処方します。
切開処置や抜歯処置を行った場合は、投薬処置も併用して行われます。
3.歯周病の初期治療
初診時の検査結果を元に、初期の段階でとりあえず、歯肉縁より上に溜まった歯石やバイオフィルムを超音波の振動を利用した歯周病治療用機械を用いて除去し、一時的に細菌を減すことにより、歯茎の炎症を軽減させます。
4.再評価するための再歯周検査
再度歯周病検査を行い、初診時の検査結果と比較検討し、今後の「本格的な歯周病治療」の治療計画を立てます。
5.本格的な歯周治療(基本治療)
■ 歯磨き指導(歯磨きの仕方が合っていないと判断した場合)
個々の患者様のお口に合った、「ハブラシの選択」ならび「正しい歯磨きの仕方」をお教えし、患者様ご自身で綺麗に歯磨きが出来るようになられるまで、数回に渡りご指導致します。
正しい歯磨きをして口腔内を清潔に保つことが、
「歯周病治療の基本中の基本」であり、
これが出来なければ他の歯周治療は全て無駄になってしまいます。
■ PMTC(詳細は前に記載)
歯周病細菌が群れをなして生息する場所である、歯肉縁下の深い所の歯根面に付着している歯石やバイオフィルムを、プロの手により数回にわけて綺麗に除去し清掃・消毒を行います。
6.再評価するための再々歯周検査
再度の歯周病検査を行い、本格的な歯周病治療(基本治療)の成果を評価します。
<全ての部位において歯周病の改善がみられた場合>
治療終了となり「定期検診(メンテナンス)」に移行します。
<歯周病が改善されない部位があった場合>
より高度な再治療の検討を行います。
7.専門的特殊歯周病治療(歯周病の改善が観られない部位があった場合)
■ 再PMTC(詳細は前に記載)
■
専門的歯周外科手術(歯周病専門医による歯周外科手術)
歯周ポケットの深さが、4㎜までが「PMTCの限界」と言われています。
4㎜以上の深い歯周ポケットとなった中等度以上の歯周病で、PMTCにより改善されない場合は、歯周外科手術を行うことがあります。
<歯周外科手術の目的>
1)
手術により歯肉を開け、直接目で確認しながら確実に歯根部に付着した歯石やバイオフィルムを除去する。
2)
歯磨きがしやすい歯茎の形に整えるために、溶けて(吸収し)不定型になってしまった歯槽骨の整形を行う。
■細菌検査に基づく薬物療法(保険外治療)
細菌検査により、歯周病細菌の種類と数量を調べ
感染増殖している細菌に対して
一番効果のある抗菌剤を選択し処方致します。
8.定期検診(メンテナンス)
歯周病は、慢性疾患のため「定期検診」がとても重要な役割を果たします。
定期検診時には、「再発の有無の確認」と「定期的なPMTC」を行います。
<定期検診の時期(間隔)は?>
歯周病の重症度・改善期間・改善度・口腔清掃の状態等を総合判断します。
多くの場合は、治療終了3ヶ月後に、一度定期検診を行い、安定していたら次回は5ヶ月後の検診となります。
最低でも半年に1回は、定期検診が必要と考えております。