5.虫歯(う蝕)の進行度合いによる分類と各症状ならび治療法
進行程度:
歯の表面のエナメル質が脱灰し、白濁又は軽度の着色
症 状:
なし(無症状)
処置方法:
「フッ化物塗布」又は、虫歯に移行しそうな場合は、溝をプラスチックで埋める
「シーラント充填処置」を行う。
注意事項:
「日頃の口腔清掃管理」と虫歯に移行していないかの確認のための「定期検診」がとても大切です。
シーラントは、歯を削らずに溝の部分にプラスチックを流し溝を埋める処置のため、年月と共に食べ物などで削れて剥がれ落ちる可能性があります。
従って、剥がれ落ちていないか、「定期検診にて確認」することが必要です。
進行程度:
歯の表面のエナメル質のみに、虫歯(う蝕)が進行した状態
症 状:
無症状の場合が多い
処置方法:
虫歯の部分を除去し、消毒した後に詰める
<詰め物(充填物)の種類>
① プラスチック(コンポジットレジン)充填
② 金属充填
注意事項:
無症状の場合が多く、虫歯に気付かず放置されやすいため、C1の段階で虫歯を見つけるには、「定期検診」を受けることで、「早期発見・早期治療」につながります。
進行程度:
象牙質まで、虫歯(う蝕)が進行した状態
症 状:
時々、冷たい物・熱い物・甘い物 等がしみる
処置方法:
虫歯の部分を除去し消毒した後、詰め物又は冠せ物により修復する
<詰め物(充填物)の種類>
① プラスチック(コンポジットレジン)充填
② 金属充填
<冠せ物(補綴物)の種類>
① 部分的な冠せ (インレー):虫歯の範囲が比較的少ない場合
② 歯全体を覆う全部冠せ (クラウン):虫歯の範囲が広い場合
注意事項:
虫歯の範囲が少なければ、詰め物や部分冠せで治せますが虫歯が広範囲の場合は、詰め物・部分冠せで治すと咬む力に歯が耐えきれず破折しやすくなるため、歯の全周を削り全て覆う全部冠せ(クラウン)で治すこととなります。
従って、C2の初期の段階で虫歯を見付けるためのも、症状が出たら「すぐに受診」されることをお勧めすると同時に、「早期発見・早期治療」するためにも、たとえ症状が無くとも、「定期検診」を受けることが大切と思われます。
進行程度:
歯髄(神経)までう蝕が進行した状態
症 状:
頻繁に、冷たい物・熱い物・甘い物 等がしみる
処置方法:
「根の治療(細菌が感染した歯髄の除去)」が必要となる。
また、虫歯(う蝕)の範囲が広いため、詰め物や部分冠せで治すことが不可能となり、「土台(コアー)」を築造した後に、「全部冠せ」で治さないといけなくなる可能性が大きくなる。
さらに、虫歯が歯根部(歯肉縁下)に進行した場合は、「歯周外科手術」を行い、虫歯の部分を歯肉縁上に出して確実に除去することが必要になる。(詳細は、歯周病「専門医」を参照)
<詰め物(充填物)の種類>
① プラスチック(コンポジットレジン)充填:保険適応
② 銀金属充填:保険適応
<冠せ物(補綴物)の種類>
① 部分的な冠せ (インレー):虫歯の範囲が比較的少ない場合
② 歯全体を覆う全部冠せ (クラウン):虫歯の範囲が広い場合
注意事項:
症状を訴え来院される多くの患者様は、この段階(C3)まで虫歯(う蝕)が進行しており、「根の治療(細菌が感染した歯髄の除去)」が必要となる場合が多い。即ち、歯は抜歯されませんが、歯髄の除去が必要となるため、失活歯(死んだ)状態で残ることとなり、長い目でみると、健康な生きている歯(生活歯)に比べて、歯の寿命は、短くなります。(詳細は、前記述の「失活歯の弊害」を参照)
従って、症状が出てから受診するのではなく、たとえ症状が無くとも、早期発見・早期治療」するため、「定期検診」を受けることが大切と思われます。
進行程度:
う蝕を放置することにより、歯冠部の大部分が崩壊し細菌に感染した歯髄が露出し、残根となった状態
症 状:
・歯髄がまだ生きている場合は、冷たい物・熱い物・甘い物 等がしみる・歯髄が死んでしまっている場合は、無症状・硬いものを食べると痛い(咬合痛)・歯肉の腫れ・自発痛(何もしなくても痛い)・放置し過ぎると、根尖付近の骨が溶けてなくなり病巣ができ、やがて根尖あたりの歯茎に膿が出る穴として「瘻孔(フィステル)」ができる(無症状の場合が多い)
処置方法:
抜歯
<抜歯して歯が無くなった部分の処置>
① ブリッジ冠せ(前後の歯を支えとし、冠せでつなげセメント固定する)
② 取り外しの入れ歯
③ インプラントを土台とした冠せ
(詳細は、「インプラント」項目を参照)
<冠せ物(補綴物)の種類>
① 部分的な冠せ (インレー):虫歯の範囲が比較的少ない場合
② 歯全体を覆う全部冠せ (クラウン):虫歯の範囲が広い場合
注意事項:
手遅れで歯を保存することができなく抜歯が必要となった場合は、歯が無くなった場所を人工物で「咬み合わせを回復」しなければならなくなります。
一般的な治し方は、
① ブリッジ冠せ(前後の歯を支えとし、冠せでつなげセメント固定する)
② 取り外しの入れ歯
となりますが、双方ともに歯が無くなった前後の残存歯に「支えを必要とする治し方」のため、確かに咬み合わせは回復しますが、絶えず「支えとした歯」に負担をかけながら、日頃食事をすることとなります。また、負担をかけ過ぎると今度は、「支えとした歯」が悪くなり抜歯が必要となってしまいます。
この様に、「1本の歯を失うことにより、支えとして利用した前後の歯の寿命も縮め」てしまいます。
従って、
「虫歯を放置することにより抜歯に至ることの損害の大きさ」をおわかり頂けたと思います。
また、「最先端医療」として前後の残存歯に支えを必要としない、
③ インプラントを土台とした冠せ が理想とされています。
(詳細は、「インプラント」項目を参照)